うつ大学院が中退せずに修了した体験談

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うつで中退しようか悩む大学院生「最近、うつでつらくて大学院を中退しようか悩んでいる。自分みたいな人ってけっこういたりするのかな?その人たちって修了できたのかな?」

こういった疑問に答えます。

本記事でわかること

  • 大学院を中退する人数とその理由
  • 大学院でうつになる原因と対策【人間関係と研究】
  • うつでも修了した人の話【2人紹介】

本記事の信憑性

この記事を書いている僕は理系の旧帝大学院を卒業しています。実際に僕の周りにいたうつでも修了した2人について、どうやって修了したのかご紹介します。

大学院を中退する人数とその理由

文部科学省の調べ(2016)によると、実際にこれだけの人が中退しているそうです。

項目 修士課程 博士課程
全学生数 121,303 63,374
中退者数 3,122 3,411
中退率 2.6% 5.4%

そして中退した理由とその割合としては以下のようになります。

中退理由 割合
就職 18.23%
転学 17.65%
学業不振 15.53%
一身上の都合 13.33%
経済的理由 9.93%
病気・けが 5.87%
学校生活不適 4.17%
海外留学 0.99%

上記の項目の中に「うつ」という項目はありませんが、おそらく「一身上の都合」や「病気、けが」に入るのではないかと思います。

そう考えると、うつで中退した人は最大で20%弱にまでのぼる可能性があります。

大学院でうつになる原因と対策【人間関係と研究】

僕が実際に大学院生活を経験してきて、大学院でうつになる原因は大きく分けてこの3つかなと思っています。

  • うつ原因①:教授との関係
  • うつ原因②:研究メンバーとの関係
  • うつ原因③:研究の進捗

順番に解説した後に、それぞれの対策を教えます。

うつ原因①:教授との関係

教授との関係がうまくいかなくてうつになる学生は多いと思います。

研究室では生徒と教授との距離が近いので、教授との関係の悪さはけっこうしんどいです。

研究室に入るまでは人が良さげな教授だとおもってたのにっていう場合もよくあります。

うつ原因②:研究メンバーとの関係

同期や先輩、後輩との関係がうまくいかなくてうつになることもあり得るかなと思います。ただ、これはあまり人数が多くないですね。

僕自身、研究メンバー同士の関係が悪いって話はあまり聞いたことがない

研究室では狭い空間でずっと同じ研究メンバーと一緒にいなきゃいけないので研究メンバーと仲が悪いと、相当辛いと思います。

うつ原因③:研究の進捗

研究がうまくいかなくてうつになる人は真面目な人に多い印象です。

僕の研究室の同期で1人うつになりましたが、その人は1番真面目な人でした。

また、研究がうまくいかないと、教授からの圧力もかかってきますから大変です。

うつ病の対策

  • うつ対策①:教授の脅しにはのらない
  • うつ対策②:研究メンバーには協力する
  • うつ対策③:研究は失敗して当然

うつ対策①:教授の脅しにはのらない

教授との関係悪化に悩んでいる人は多いと思いますが、そんな人は教授の言葉を無視してください。

「卒業させないぞ」「研究なんかやめてしまえ」こんな言葉を吐く人間の言葉を真に受けるのは時間の無駄です

できるだけ、教授との接点をもたないようにメールなどで連絡を取るだけにするようにすれば大丈夫です。直接学校に来いと教授に言われたら教務課などに実情を話せば教務課が教授に話を通してくれます。

うつ対策②:研究メンバーには協力する

研究メンバーの実験などには積極的に協力していきましょう。そうすれば研究メンバーとの関係悪化に悩むほど、仲が悪くなったりはしません。

実験などへの協力は自分が研究を行うときに必ず恩恵として自分に戻ってきますし、仲も悪くならないしで一石二鳥です。

うつ対策③:研究は失敗して当然

研究は失敗して当然というスタンスで研究することが大切です。

失敗しても卒業はできます。成功しない方法を一つ見つけたという実績があるわけですので。

研究がうまく進まなくても「自分に能力がないな」と思わず、「こんな難しい研究をしている自分すごいな」程度で思っておけば大丈夫です。

うつでも修了した人の話【2人紹介】

僕の周りでは先輩と同期が1人ずつうつになりましたがどちらも修了しました。そんな2人について以下のことを紹介します。

①うつになった理由
②修了した秘訣
③うつ状態での学生生活の詳細

1人目:教授との関係悪化でうつになった先輩

僕が4年生のときにM2の先輩が教授との関係悪化でうつになりました。けっこう毎日、教授からの罵詈雑言がその先輩に浴びせられていました。

うつになった理由

うつになったのは、研究が思い通りに進まないことを教授にやる気がないと指摘され続けて心が疲弊したせいです。

本人はけっこう研究をがんばっていると思っていたらしいです。

修了した秘訣

修了した秘訣はうつ病診断書の存在です。

その先輩は病院に行ってうつ病の証明書をもらってきました。また医師からのアドバイスの用紙ももらってきておりそこに、「教授とは一定の距離をおくこと」と記載されていました。

それを渡された教授はその日以降、まったくその先輩を攻撃しなくなりました。

うつ状態での学生生活の詳細

日中は家でできる研究をして、夕方以降に教授が帰宅する頃をめがけて学校にきて研究をしていました。

学校での研究メンバーとの付き合いは普通でごはんに一緒にいくとかもありました。

2人目:研究が進まずうつになった同期

僕の周りにはもう1人、良い研究結果が出ずにM2のクリスマス以降1ヶ月くらい音信不通になった同期がいます。

うつになった理由

研究結果が出ないことに焦りを感じうつになったそうで、M2のクリスマス以降1ヶ月くらい音信不通になりました。

修了した秘訣

良い結果はでていなくても、研究過程などを論文として記録していたこと。

彼曰く卒業する気はなかったらしいですが、自己満で論文を作成していたそうです。

もちろん論文の結果の欄には一切好ましい結果がない状態だったそうです。

論文があったため、いい結果がでていなくても研究はしっかりしたとみなされて論文も受理されて修了していました。

うつ状態での学生生活の詳細

一切学校には来ず、家でずっと論文を書いていたそうです。コンタクトも一切とれなかったのでどんな生活をしていたかは不明です。

大学院をうつで中退するのはあり

結論、大学院をうつで中退したり休学するのは、かなりありなように思います。

というのも、うつと診断された先輩は僕から見てかなり追い詰められているように見えもう少し追い詰められると完全にアウトの状態になってしまっていたように思えるからです。

  • 彼の場合は、「うつの診断書」と「教授に合わないようにする」ことでうつの根本的な原因であったであろう教授からの高圧的なプレッシャーから解き放たれることができたように思います。

もしも、彼と同じような対策方法が効果ないようであれば、完全に精神が病む前に、原因から距離を置くために中退や休学をするべきだと感じました。

大学院をうつで中退・休学することを考えた場合のメリット・デメリットはこんなところです。

中退のメリット・デメリット

  • メリット① : 完全に教授との縁を断ち切ることが可能
  • メリット② : 期間の制限なしでゆっくり回復できる
  • デメリット① : 復学をすることが不可能
  • デメリット② : 親を説得しずらい

休学のメリット・デメリット

  • メリット① : 復学をすることが可能
  • メリット② : 親を説得しやすい
  • デメリット① : 復学後教授と再接触がありうる
  • デメリット② : 回復の期限が決められ、ゆっくり回復できないかもしれない、

上記のメリット・デメリットを熟考してどちらにするか決定するといいと思います。

【中退の手順】

1.退学届をもらう(教務課)
2.必要事項(理由など)を記入
3.保護者のサインをもらう
4.指導教員と学科の代表教員のサインをもらう
5.退学届を提出する(教務課)

【休学の手順】

1.休学届をもらう(教務課)
2.必要事項(理由など)を記入
3.保護者のサインをもらう
4.指導教員と学科の代表教員のサインをもらう
5.休学届を提出する(教務課)

まとめ

彼とは彼が大学院を卒業して10ヶ月ほどたってから一度会いました。その際は、教授に追い詰められていた頃の面影はなく、適度なプレッシャーのもと仕事ができているようでした。

彼を見る限り、うつになるのは精神的に弱いその人の責任ではないように思えます。そのため、原因は環境にあるように思えるのであまり自分を責めないようにするといいです。彼の場合は原因は彼と教授との相性が原因だったと思います。

彼は今までの人生で大学院時代を除き一度もうつになりませんでしたし、うつと診断されて回復した後は普通に生活しています。

また今回の記事をはじめとした大学院に関する記事はこちらの【大学院とは】入試から生活までを現役旧帝大学院生が網羅的に解説した記事にまとめられています。大学院入試から大学院生活のことまで網羅的に記事を展開していますので、気になる方はご覧ください。

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